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カミーユ・ビダン 機動戦士Zガンダム / 登場人物紹介




カミーユ・ビダン (Kamille Bidan) は、アニメ『機動戦士Ζガンダム』に登場する架空の人物で、同作品の主人公。エゥーゴのモビルスーツパイロット(階級は中尉待遇)で、宇宙世紀を舞台とするガンダムシリーズにおいて史上最高のニュータイプ能力を秘めた少年。続編『機動戦士ガンダムΖΖ』などにも登場する。(声:飛田展男)
血液型AB型。公式設定は身長168.2cm、体重59.5kg。
 
経歴及び劇中での活躍
グリプス戦役以前
生い立ち
宇宙世紀0070年(一説によれば0069年)11月11日、父フランクリン・ビダン、母ヒルダ・ビダンの長男として生まれ、後にサイド7(グリーン・ノア)に移住する。劇中では、出生地は語られていないが、小説版では地球(東京近郊のニューシートかニイザシティ)で生まれたとされている。
両親が共に地球連邦軍の技術士官で、どちらも家庭より仕事を優先するいわゆる仕事人間であったため、孤独な少年時代を過ごす。マルガリータという女性との不倫に耽る父と、そんな父の振る舞いに気付かぬ振りをして仕事に没頭する母に、それぞれ強い不満を抱いていた。
ハイスクール時代
「カミーユ」という名が女性的であることに激しい劣等感を持っている。そのため、小型飛行機であるホモアビスやジュニア・モビルスーツなどに熱中したり(MSの大会では優勝するほど)、ハイスクールでは空手部に所属したりするなど、「男性的」な趣味に傾倒していく。劣等感と家庭環境も併せて、非常に繊細で感情の起伏が激しい性格に育つ。一方で生活能力に乏しく、幼馴染みの少女ファ・ユイリィに依存する所が大きかった。
その中性的で端正な容姿などから、教師たちからは模範的な生徒と誤解して見られていたが、同級生からは「石の少女」と陰口を言われていた。
 
グリプス戦役(『機動戦士Ζガンダム』)
エゥーゴへの逃亡
宇宙世紀0087年3月2日、ホワイトベースのキャプテンだったブライト・ノアが指揮する旅客用小型シャトルであるテンプテーションが入港したため、彼に会いに行くべく空手部をサボって幼馴染のファと共にグリーン・ノアの宇宙港へ向かったところで、同僚であるカクリコン・カクーラーを迎えに来ていたティターンズの将校ジェリド・メサに「女性的な名前」を馬鹿にされたために激昂し、ジェリドを殴りつけたためMPに逮捕される。ジェリドの操縦するガンダムMk-IIの墜落事故のどさくさに紛れて脱走し、偶然始まったエゥーゴによる同機の強奪作戦に個人的なティターンズとMPへの復讐心から加担し、そのままエゥーゴのクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)らと共にグリーン・ノアを脱出する。
両親との死別
しかし、その後の個人的私怨に任せた迂闊な行動が、ティターンズに協力していた両親をバスク・オムによって人質にされる事態を招いてしまい、簡易カプセルに閉じ込められた母ヒルダはジェリドに殺害される。父のフランクリンは一度は救出されるが、彼はアーガマからリック・ディアスを盗み出し、そこをエゥーゴとティターンズの戦闘に巻き込まれ、流れ弾で乗機が撃墜されてしまい(脱出には成功したが直後の爆発に巻き込まれ宇宙空間へ放り出されてしまった)、結果的に両親を失う結果となる。小説版では、フランクリンはリック・ディアスを奪って逃走しようとしたところを、レコア・ロンドにより射殺される。これによりティターンズの本質を知ったカミーユは、ティターンズと戦う決意を固めていく。
ガンダムMk-IIの専属パイロット
エゥーゴの指導者であるブレックス・フォーラや、ヘンケン・ベッケナー、クワトロらからニュータイプとして天賦の資質があると見込まれ、エゥーゴの正規パイロットになることを薦められる中、MSの訓練を受けていない民間人でありながら、連邦軍のベテランパイロットライラ・ミラ・ライラを撃墜するという戦果を挙げ、アーガマのクルーからはアムロ・レイの再来と称される(ただし、カミーユとしてはアムロと重ねられるのは迷惑だったらしく、アムロ本人に出会ったときにそれを打ち明けている)。それ以来カミーユは、ガンダムMk-IIの専属パイロットとなり、宇宙世紀の歴史上で最も優れたニュータイプの資質を開花させていく。また同じ時期に、ティターンズより転向したエマ・シーンの窮地を察知し、それを救うという活躍を見せる。
だがその一方で、ミーティングに遅れたことをエゥーゴのスポンサーであるアナハイム・エレクトロニクス社から社長の意向を伝えに来たウォン・リーにとがめられ、それに対し謝ろうとせずに反論して殴打による「修正」を受けたり、しばらくの間そのことからふてくされた態度をとって、エマに殴打と叱責をされるなど精神的に未熟な面も多々あった(テレビ版のみ)。
地球への降下
同年5月、ジャブロー基地への攻撃作戦のため地球に降下し、地球連邦軍の守備隊やジェリドらティターンズと戦うが、ジャブローの地下に核爆弾が設置されていることがわかると地上での支援組織「カラバ」と合流して脱出する。この戦いでもニュータイプの力により、先に地上に降下したものの囚われの身となっていたレコアと、フリーのジャーナリストになっていたカイ・シデンの居場所を感知して救出する活躍を見せている。
その後、宇宙への離脱を図る中で一年戦争の英雄達であるアムロ・レイやカツ・コバヤシらと出会う。その出会いの中で、カラバのリーダーであるハヤト・コバヤシがクワトロをシャアではないかと問い詰めるが、クワトロにはうまくはぐらかされてしまう。あくまで自分の正体を明かそうとしないクワトロの、逃げ隠れするような姿勢に苛立ちを隠せないカミーユは、「修正」と称して殴りかかる。なお、小説版では正体を察した上で陰で笑い話の種にし、劇場版ではハヤトとカイとの会話から正体がシャアであることを察し、殴りかかってはいない。
フォウとの出会い
その後、ニューホンコンでブライト・ノアの家族とも出会い、カラバのアウドムラ追撃の指揮を執っていた連邦軍のベン・ウッダーにより彼らとアムロが人質になった際には、水中用ザクと交戦し、これを撃破して人質奪還のきっかけを作るという活躍を見せるが、敵側の強化人間・フォウ・ムラサメとの運命的な出会いは、地球に降りたカミーユにとって大きな出来事となった。
彼女と出会い、淡い恋に落ち短いデートの中で口付けを交わすほどの仲となるも、結局敵同士として戦うことになる。しかし、互いに名前へのコンプレックスを持っていたことからカミーユはフォウとの交戦中、彼女に心中を打ち明けた。それに応えたフォウの捨て身の行動と、アムロ達アウドムラのクルーの援護によって宇宙へ離脱。フォウと別れる直前カミーユは、彼女に対して初めて、今までコンプレックスだった自分の名前が好きだと告げた。宇宙に戻ると彼自身の意見も設計に反映されたΖガンダムが新たに配備され、カミーユの愛機となる。
フォウとの再会~死
同年11月、エゥーゴの勝利の鍵を握る作戦のためクワトロと共に地球へ降下し、キリマンジャロ基地への攻撃作戦を開始するが、そこで死んだものと思っていたフォウと再会。以前より洗脳が強化されていたが、必死の説得で心を取り戻した矢先ジェリドの攻撃からカミーユをかばい、フォウは絶命する。彼女の死はカミーユの心に大きな傷を残すことになり、一部始終を見ていたシャアとアムロに、7年前と同じ過ち(ララァ・スンの死)を繰り返してしまったと悲劇を予感しながら防げなかったことを後悔させた。そしてカミーユは、彼女の死をきっかけにニュータイプとして自分に与えられた役割を意識するようになる。
ハマーンとの戦闘
宇宙世紀0088年2月2日、再び宇宙へあがったカミーユは、「アクシズ」からグリプス2(コロニーレーザー)を奪取するためのメールシュトローム作戦において、ハマーン・カーンの駆るキュベレイと交戦。戦闘中、精神邂逅を起こすが、ニュータイプ同士で解り合える直前にハマーンに拒絶されてしまう。その後、小惑星基地アクシズ周辺空域で、一度はカミーユを兄と慕ってきた強化人間のロザミア・バダムと交戦。精神が崩壊したロザミアの姿にフォウの幻影を見る中で、アーガマを守るため止むなく撃墜する。
グリプス戦役の最終決戦
2月21日、グリプス戦役の最終決戦。カツやヘンケン、エマなど親しい人間だけでなく、ジェリドやレコアといった敵味方問わず生命が次々と散っていく激戦の中で、ますます進化したカミーユのニュータイプ能力は人々の死の思いや叫びを受け止め続け、その心は限界に達しようとしていた。パプテマス・シロッコとの決戦で死闘の末、シロッコを撃破するが、同時にシロッコの断末魔と共に発せられた青い光(シロッコのニュータイプの力と言われている)を浴びる。
己の能力が強大になりすぎると共に宇宙に満ちる多くの人の死の思念を感じ、真空状態でヘルメットのバイザーを上げてしまうなど、既にその兆候が見られていたカミーユは、シロッコの断末魔の悪意まで自分の精神に取り込んでしまい精神疾患を発症する。ファ・ユイリィの呼びかけも聞こえず、モビルスーツの爆発を宇宙空間の星々と見間違え、無邪気に喜ぶその姿は、戦争の怒りや憎しみから解放されて、幼児に戻ったかのようであった。最終回で主人公が精神疾患を発症するという結末は視聴者に衝撃を与えた。
また、プレイステーション用ゲーム『機動戦士Zガンダム』では、オリジナルアニメーションシーンにおいて百式から脱出しようとしたシャアが、カミーユが精神崩壊を起こしてしまった様子を感じ取って地球潰しを決意する一因となるパートがある。ゆえに彼の精神崩壊がシャアの地球人類に対する絶望を生み、第二次ネオ・ジオン抗争の遠因となったとする。
なお、2006年3月に公開された劇場版『機動戦士ΖガンダムIII A New Translation -星の鼓動は愛-』では、無限にニュータイプ能力を拡大させても精神疾患を発症せずに戦いを終え、無事に帰還する。なお、漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では、帰還後はティターンズの残存勢力の掃討を行ったとされるが、この作品自体は公式設定というわけではない。
 
第一次ネオ・ジオン抗争(『機動戦士ガンダムΖΖ』)
アーガマから地球へ
グリプス戦役直後、カミーユはアーガマ艦内でファに介護されながら精神疾患の治療を行っていたが、アーガマがサイド1のコロニー、シャングリラに寄港した際、病院に入る。ただ、症状は回復しないながらもカミーユの神懸り的なニュータイプ能力は健在であり、初めてジュドー・アーシタと出会ったカミーユは、ジュドーの手を握ることで彼のニュータイプとしての資質を覚醒させ、さらにはΖガンダムに乗るようにも思念で彼を導いている。
アーガマがシャングリラを出て補修ドック艦ラビアンローズに辿りつくまでの戦闘で、メタスで出撃したファは、被弾しそのままシャングリラに流され、カミーユのもとへ戻る。しばらくしてから治療に専念するためファと共に地球へ降り、ダブリンの病院で看護師の手伝いをするファに引き続き介護を受ける。
第一次ネオ・ジオン抗争の後半
第一次ネオ・ジオン抗争の後半、アーガマは再び地球に降りてダブリンに停泊する。アーガマを狙ったグレミー・トトの部隊が襲撃をかけ、爆撃に晒された際、ファはカミーユを連れて街から避難しようとしたが、カミーユは病室を抜け出してしまう。ファの頼みでアーガマのパイロット達は、カミーユ捜索のためにダブリン中に散るが、アーガマに迫るグレミーのプレッシャーを感じたエルピー・プルが、未整備のガンダムMk-IIで単機でグレミーの艦に向かってしまう。そこで窮地に陥ったプルにカミーユは思念の「声」を送り的確な指示を送り続ける一方、ジュドーたちにプルの危機を知らせて集結させるという神業をやってのける。アリアス・モマ率いる量産型バウの部隊の猛攻で追い詰められたプルに、ガンダム・チームの救援が間に合い、カミーユの思念の助言によって激戦の中でΖΖにドッキングし、アリアス隊を撃退する。その後プルの導きで無事カミーユは発見され、一旦アーガマに収容される。
しかしその直後、ネオ・ジオンのダブリンへのコロニー落とし作戦が発覚し、アーガマは住民の救助に向かうが、カミーユはコロニーが落ちてくることを感知し「空が落ちてくる」という極度の悲壮感に襲われる。共同で作戦を行うため合流した、カラバのハヤト・コバヤシの配慮で、ファと共にグラスゴーに降下することになった。降下直前、カミーユは見送るジュドーたちに宇宙のビジョンを見せて無言のメッセージを送り、彼らに後を託す。結局ラカン・ダカラン部隊の攻撃やコロニー落下で、ダブリンで多くの人命が失われ、また悲しみを感じることになったが、ファに支えられ再び宇宙へ上がるジュドーたちを見送る。
戦争終盤
戦争終盤、グレミーが自分の正当性を振りかざし、大義なき者は去れと迫ったとき、明確に言葉になりきらない怒りを感じたジュドーに、カミーユは戦う理由を意思で伝え、ジュドーはその声に後押しされ、自らの血筋による支配のために戦火を広げるグレミーのエゴイズムを指摘し、ザビ家の血もまた地球が生んだ一つの生命に過ぎず、その地球を再生させるために人類全体がやり直さなければならないと反論した。ジュドーとハマーンの最終決戦では、行動不能になったジュドーのコア・ファイターに、ガンダムに関わった人々と共に思念のエネルギーを送り、再合体させる。またその思念は、ハマーンの腕を硬直させるほどのプレッシャーを与え驚愕させる。最終話では、ファの献身的な看護が実ったのか、疾患から回復して海岸でファと抱擁し合う姿が見られた。
なお、シャアとアムロの最終決戦である劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』にはカミーユは登場せず、同映画の小説作品である『ハイ・ストリーマー』において名前だけが登場している。それによるとシャアと再会したアムロは「カミーユ・ビダンと言う少年を狂わせた」ととがめ、そばに居ながらカミーユを救ってやらなかったシャアに対し激しい憎しみを抱いていた。また、漫画『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』では、宇宙世紀0099年頃には医者となっており、月面のグラナダ市でファと共に生活している。ただし、この作品自体は公式設定というわけではない。
 
最高のニュータイプとして
最高のニュータイプ
類稀な天性のニュータイプであり、総監督である富野由悠季や公式設定には「カミーユは宇宙世紀に登場した数多いニュータイプの中でも、最高のニュータイプ能力の持ち主である」と評される。劇中ではアムロ・レイに「自分以上にニュータイプとして見込みがある」とその資質の高さを認められる(18話にて)。
また富野は、月刊マガジンのインタビューにて、「学習が出来、本当の意味でのニュータイプとなれたカミーユと比べれば、ニュータイプの代表例であるアムロでさえも、学習がないためオールドタイプとして死んでいくしかない」と評価している。数々の覚醒したニュータイプの中でも最も研ぎ澄まされた能力と感性を持っており、パイロットとしてもまさに「アムロ・レイの再来」と呼ばれるのに相応しい活躍を見せるが、戦いの中で戦士としても、ニュータイプとしても覚醒していくのとは逆行して、その比類なき能力のために彼の精神は鬱屈し、疲弊していく。
ニュータイプ同士の関係
初めて恋心を抱いた女性フォウとの出会いと悲劇的な別れは、特に重要なエピソードとして描かれている。ひたむきに向き合い続け、最後には解りあうこともできたフォウだが、自分の腕の中でその最期を見届けなければならなかった。それでもカミーユは悲しみを受け止め、その直後のティターンズを糾弾するシャアの演説を妨害から守るなど、フォウの死を無駄にしないために戦い続ける。そんなカミーユに、アムロは自分やシャアが見出すのに7年もかけた「行動する」という答えを実践できていると賛辞を送ったが、心に深い傷を残したことに変わりはなかった(38話にて)。
その後、ハマーンとはニュータイプ同士の精神邂逅を持ち、お互いの心の深奥の望むものを見て、カミーユはハマーンとも解りあえる可能性があると思ったが、ハマーンは自分の心に土足で踏み込まれたことに怒り精神邂逅を自ら拒絶したため、意識の共有ができても解り合うことはできなかった。その一方、植えつけられた偽りの記憶だが、自分を兄と慕うロザミアにはフォウの面影を見てしまう。そのロザミアも強化人間の呪縛から逃れられず、カミーユを敵と認識して襲い掛かるが、カミーユは自ら手を下すことでしか苦しむロザミアを救うことができなかった。この頃、度重なる戦いのために限界に近づいていたカミーユは、自分の能力も結局は戦争の道具でしかないのではないか、また戦争という大きな流れの中では自分もなすすべがないという心情を、「ニュータイプにできることといえば人殺しくらいなもの」という言葉で表現する(48話にて)。
グリプス戦役
グリプス戦役の最終局面では、カツ、ヘンケン、エマといった身近な人間が目前で次々と命を散らし、自らもジェリドら、立ち塞がる者の命を次々と奪っていってしまう。戦いの果ての平和に希望を持ちながら、本来は戦争自体を嫌悪していたカミーユは、その先鋭化しすぎた感覚によって戦場全体の悪意、哀しみ、人の死をより強く感じ取り、ヤザン・ゲーブルのような殺戮を愉しむ者への激情によっても精神をすり減らしていく。戦いと怒りを重ねるごとに無制限に肥大化していくニュータイプ能力は、疲弊しきったカミーユの精神を押し潰そうとする。
最終的にカミーユは、戦争を傍観者としてコントロールするシロッコこそ元凶と見て、この戦争で死んでいった人々のためにも討つことを誓い、死んでいった者たちの思念を自分の精神に取り込むことによって、見事シロッコを討ち果たすが、その結末は周知の通りで、大きくなりすぎた自分の力が疲弊した精神を凌駕し、シロッコの断末魔の業想念という最後の一押しによって、精神疾患を発症してしまう。「いくらカミーユのニュータイプ能力が最も高くても、人間の限界なんてそんなものです。だからカミーユは気が触れるしかないんです」との富野の言葉にあるように、カミーユはその才能のために、テレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』では悲劇的な結末を迎えたことになる。
精神疾患の発症後
精神疾患を発症はしたが、続編である『機動戦士ガンダムΖΖ』にも重要な役割を持って登場する。無論パイロットなどできるわけもなく、ファ・ユイリィや、ハヤト・コバヤシ、ガンダム・チームの少年達やアーガマのクルーなどに助けてもらいつつ生活することになる。
普通の人間のように生活し、意志を表現できなくても彼のニュータイプ能力は健在で、その能力でジュドー・アーシタやエルピー・プルだけでなく、ガンダム・チームの少年、少女達によきアドバイスを、言葉ではなく思念を送ることにより助ける。ジュドーはグレミー・トトとの決戦において、互いの戦いに対する理念について論破されそうになり身動きが取れなくなっていたが、カミーユは遠く離れたジュドーに「理不尽に対して感じた怒りこそが戦う理由だ」と思念で告げ、それが精神的にジュドーがグレミーに逆転するきっかけを与え、グレミーに打ち勝つ助けとなった。その後の、最終決戦であるジュドーとハマーンの一騎打ちにおいても、地球からのカミーユの思念のエネルギーが、今は肉体を持たないニュータイプ達の力と共にジュドーに届き、勝利させる。最後には精神疾患から回復した彼が、ファと地球で幸せに過ごしている様が見られる。
新たなニュータイプの理想像
テレビアニメ『Z』『ZZ』においてカミーユの物語が語られてから約20年のときを経て、劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation』が制作され、そこで監督の富野は新たなニュータイプの理想像としてのカミーユを示した。『A New Translation』シリーズで、カミーユが精神疾患を発症することなく無限に拡大した自分のニュータイプ能力を前向きに受け入れることができた要因は、カミーユは自分が関わる事件や出来事を常によく観察しており、多くの仲間の死や戦場の悲しみを感じても、そのストレスを受け流す術を身につけただけでなく、その経験を自分の成長の糧となるものとして学習し受けとめていた。
また周囲の人間とのコミュニケーションや触れ合いを常に大事にし、宿敵シロッコに対してすらテレビ版のように存在を全否定するのではなく、人間を家畜や道具のように扱ってはならないと諭すように叫んでいる。そして何よりテレビ版のように死んでいった人々との精神的な繋がり(共感)だけでなく、ファという大事な女性の肉体的な繋がり(体感)を得たことが大きく、これによって自分の力や、戦いの中での悲劇と向き合い、乗り越える強さを得たといえる。この精神的な共感と肉体的な体感を得たカミーユのラストは、隣の人を大事にできる究極的なニュータイプと、北里大学の講演会「ニュータイプを継承するために」で富野は発言している。なお富野は今まで明確にできなかったニュータイプというテーマに『A New Translation』で「ニュータイプとは精神的、肉体的な繋がりを活かして隣人を大事にできる人」という結論が出せたとも語っている。
その他、テレビ版最終話では、排除しなければならないのは「地球の重力に魂をひかれた人々」と主張していたが、劇場版では「地球の重さ、大きさを想像できないあなたたち(=シロッコやハマーンら)」と変化している。
 
主な搭乗機
RX-178 ガンダムMk-II(グリプス戦役前半メインパイロット。Zガンダム受領後はエマ・シーンに譲渡)
MSZ-006 Ζガンダム(グリプス戦役後半メインパイロット)
RMS-099 リック・ディアス(テレビ版で、カツ・コバヤシがガンダムMk-IIで無断出撃した際に一時的に搭乗)
 
逸話
カミーユは物語当初、名前にコンプレックスを持ち(女のような名前と馬鹿にされることがあった)突発的に感情が高ぶり年長者に殴りかかる場面が劇中3回、さらに自らを尋問・恫喝したMPにMK-IIのバルカンポッドで威嚇射撃するなど激情的な少年であった。
劇場版公開に際して監督を務めた富野を迎えたインタビュー記事によると、テレビ版のカミーユに対し否定的な意見が当時の視聴者には多かったが、しかし近年ではカミーユのように感受性が強く、激情的で情緒不安定な子供もいる。そのためにカミーユに感情移入する視聴者は少なくはないとし、この社会的な現象を見て富野は「カミーユの受けとめ方を半歩ずらし健やかにすることで、そういう子供たちに対してのメッセージを送るために、新訳Ζのカミーユの解釈を変えた」と語っている。
なお、カミーユを演じた声優の飛田展男は、最初の頃はカミーユに対してわけの分からないキャラクターという印象が強かったとインタビューにおいて語っている。
 
カミーユの名の性別について
カミーユ・ビダンの名前の由来は、フランスのカミーユ・クローデルがモデルであるとされている。
なお、カミーユという名はフランス語では男性の名前が多く、女性と勘違いされることはないのだが、富野の意図でこのような演出になっている。女性でカミーユと名乗るのは、歴史的には上記のカミーユ・クローデルや女優のカミーユ・ナッタなどごく限られた人物しかいないが、第二次世界大戦後、特に1960年代以降は女性名としても一般的になっている(カミーユおよびfr:Camilleを参照、また外部サイトとして男性名の例と女性名の例の命名統計の推移も参照されたい)
カミーユの女性形にはカミーラ(カーミラ)などがあるが、フランス語圏ではなくイタリアおよびスペイン語圏(Camilla)やドイツ語圏(Kamilla, Kamila)など別の国の出身や家系の名前と認識される場合が多い。カミーユCamilleの名はもともと大天使カマエルに基づく。天使の名前はフランス語圏では綴りは異なっても男女共通の発音で用いる場合が多い。他にはミッシェル(男性Michel, 女性Michelle)、ガブリエル(男性Gabriel, 女性Gabrielle)などの例がある。
劇中において他人のジェリドより「女の名前か」といった指摘こそ受けるものの、結局のところカミーユが自分自身で「女性的な名前」だと勝手に思い込んでしまっているだけなのだと富野はインタビューで説明しており、その意図も作中の描写だけではなかなか理解されなかったとも語っている。

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